先頃日本HP社が発表したパソコンの新しい導入方法を提案するようなビジネスモデルを発表しました。これはパソコン本体を『買う』のではなく、ハードや保守サポートを含めた『利用料制度』による導入方法です。
今日はそのお話をしたいと思います。
結論から言いますと、このサービスは1,000台以上のパソコンを導入している企業等組織であれば経済的であるとの事で、私達一般庶民にはあまり関係なさそうです。
しかし、この考え方は料金設定やサービス内容によっては中小企業でも歓迎される物に進化する可能性を秘めていると私は思います。
何しろ中小企業では仕事でパソコンを使わない訳にはいかないのですが、メーカーが定めているハードウェアの保守パーツの上限5年という制度や、WindowsなどのOSのサポートが終了する事によってアップグレード又は買い換えを迫られるような事は経営者にとって頭の痛い問題なのです。
私も取引先の社長さんからは「何でパソコンは5年毎に買い換えなきゃならないんだ?メーカーが勝手に決めた事に何でワシらは従わなきゃならんのか?」とよく言われたものです。
この社長さんの仰っている1つめの問題提起は『メーカーの保守パーツ保持期限5年』ですが、これは考えてみれば供給側としてはこれでもかなり頑張っている方ではないかと思います。
なぜなら製造・販売した製品の純正部品をある程度の数量分ストックしておかなければならないというのはとてもコストのかかる事だからです。
しかしパソコンを使う側としては納得出来ないというのもよくわかります。
例えば、とても快適に動いていたパソコンが5年を経過したある日、突然電源装置が故障して起動しなくなってしまった場合、メーカーが在庫を切らしていればもうそのパソコンは使えない…という事になってしまいます。(他の部品は正常だとしても…です)
メーカー側は「申し訳ありません」とお悔やみの言葉を繰り返すばかりでしょう。
こんな時、職場にパソコンに詳しい人がいれば規格に合った互換パーツを手に入れて修理してくれるかも知れませんし、大事なデータの取り出しも可能かも知れません。
でも多くの場合は『あきらめて新しいパソコンを購入する』のではないでしょうか?
2つめの問題提起は『OSのバージョンアップ』による問題です。
Windowsといえば誰もが知っているパソコンOSのデファクトスタンダードですが、これまでに何度も大きなバージョンアップを繰り返しており、その度に従来使っていたソフトウェアが使えなくなってしまうという憂き目に遭ってしまったユーザーがいました。
また、バージョンアップする度に『より高いハードウェア性能』を要求される傾向にあり、これまで快適に使えていた筈のパソコンがバージョンアップした途端に使い物にならなくなってしまうという問題に直面するケースも度々ありました。
で、この場合も仕方なくパソコンを買い換えるという事になっていた訳です。
出来ればこうした理由で不定期に発生する『買い換え費用』を無くしたいというのが企業の本音だと思います。
そこで、今回の日本HPのビジネスモデルの登場です。
パソコンが重要な業務の一部として機能している企業では『PCが壊れた』というダウンタイムが発生する事はかなり深刻な事ですから『保守サービス』を契約している事が殆どです。
この保守サービスに『パソコンのハードウェア使用料』を加えて提供するのがこのサービスという訳です。
故障などの修理も保守サービスで対応してもらう事ができて、保守期限を迎えた機種は利用料の中で順次新しいハードウェアに入れ替えて行く事が出来ればパソコン関連の費用がある程度平準化できて『突発的』『期間集中的』に発生する買い換えコストの発生を回避出来るというメリットが見込めるという事でしょう。
パソコンをリースで利用するメリットは購入して固定資産にする必要が無く、経費扱いになる所でしょう。(但し固定資産になるパソコンは30万円以上の高額品です)
ですからこの『利用料制度』も同じメリットを受けられる筈です。
日本HPのサービス自体を詳しく確認した訳ではないのですが、ハードウェアの供給自体は指定のリース会社からとなるようで、手続きがどの程度簡素化されるのかは気になる所です。
こうしたビジネスモデルが出て来たのは勿論ユーザーの声を元にしたものである事は確かだと思います。
実際、Windows XPの延長サポートが終了した際、セキュリティ面での問題があるからとすぐにでもWindows7への移行を迫るような空気が業界に充満していましたが、そうした費用が捻出できない企業や自治体では実際にWindowsXPパソコンを今でも使い続けているという話もあり(全てではありませんが)、結構深刻なのです。
昔のように『○○社の○○というパソコンが欲しい』という指名買いも最近はあまり聞かれませんので『パソコンを使う』という事に『いくらかかるか』という事に焦点が当てられてきている事が伺えます。
ならばソーヨーピーシーではどういうサービスを提供すればお客様のお役に立てるか?を考えさせられるニュースでした。
それではまた!
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