こんにちは!店長です。
『仮想化サーバー』っていうとカッコイイですよね?(そう思うのは私だけ?)
今やホスティングサービスという名前であちこちのクラウドサービス屋さんが提供している技術であって、そんなの今更何やってんの?って感じかも知れません。
でも、ある特殊な事情を抱えているユーザーにはとても現実的で将来性も考慮されたパソコンの使い方だな…と思って当店の実験用パソコンを使ってこの1ヶ月近く仮想化を試していたのです。
猫くんも手を『貸そうか?』と言ってくれていますが…
やりたかった事は、1台のパソコンの中に複数の仮想環境を作って2台ないしは3台分のWindows7Pro(32bit)環境が動くようにしたかったんです。
その理由は、お客様のシステムが既にサポート切れのWindowsXP Professionalで動くように作られたシステムだったので何とかMicrosoft社がサポートしているOSで使えるようにしたかったという事があります。
いろいろと試したり調べた結果、このシステムが問題なく動作するのはWindows7Proの32bit版までだという事がわかったのです。
じゃあ「このパソコンにWindows7をインストールすりゃいいじゃん!」て思うのですが、いかんせんスペックがあまりに低くてメモリーも512MBしかないという代物。
でも「よくできたタッチパネル一体型PCなので、出来ればそのまま使いたい」というお客様のご希望もあるのです。(タッチパネルの安定感が他の製品には無いんだそうで…)
でどうするか?と考えた訳ですが、私の考えた答えはこれです。
「じゃ、そのタッチパネルPCをシンクライアント端末にして使えばいいじゃん!」
というものでした。
シンクライアントOSとしてはLinuxベースで低スペックマシンでも十分に動くものが無償で提供されていますからこれを使えば良い話です。
実際、Live CDを使ってのお試し起動をしてみたらちゃんと使えて、タッチパネルの反応も位置ズレもなく正常に動くことが確認されました。
ここまではとんとん拍子に検証は進みました。
ところが、今度は実際の仮想化サーバー側の仕組みは何を使うか?(使えるか?)でかなり試行錯誤が必要になってしまったのです。
で、やってみたのが次の通り。
- VMWARE(正確には"VMware vSphere Hypervisor")
これぞ『仮想化』の本家!って感じでこれ自体がOS的機能も兼ね備えている仮想化
サーバーそのものって感じの代物。
ユーザー登録すれば60日間の試用期間後も使えるというので本家の製品が割安に
使えたら素晴らしい!
→インストールCDを焼いて実験機にインストールしようとしたらハード不適合で頓挫
どうやらドライバーソフトが貧弱で動作するPC本体のハードウェアを選ぶようです。
- Windows 2012 Server R2の"Hyper-V"
Microsoftが開発したWindowsの環境内にゲストOSを稼働させる為の仮想化環境。
これ自体はライセンス販売されている訳ではないのでWindows Serverがあれば無料
で仮想化環境が作れる代物。
→取り敢えず、Windows 7 Professional(32bit)のインストールはできましたが何度か
Windows Updateをした後、使っているうちにインターネットに繋がらなくなって
しまい、何が何だかわからない状態になってしまいました。
仮想化環境とホストOSとの関連の設定も解りにくく、いろいろと試みましたが
改善しないので諦めました。(専門家ならわかるんでしょうけど…)
ホストOSであるWindows ServerもWindows Updateしますし、ゲストOSも当然の
事ながらWindows Updateしますので、こうなってくると普段の業務よりも
Windows Updateしてる時間の方が長い気がしてきましたので、実用的でないと
判断しました。 - ORACLE社の"Virtualbox"
かなり以前からWindows環境にLinuxをインストールして使用感を試すのによく使われた仮想環境構築ソフトウェアで、今ではデータベースシステムの大手であるオラクルがVirtualboxの提供元となりました。
最近のVirtualboxバージョン5シリーズはIntelやAMDのCPUの仮想化に最適化された機能を活かすように作られており、Linux版も提供されているので、これを使えば軽量級のLinuxなどでも使えるので安価にできそうです。
→私が愛用しているLubuntuとその派生版ZORINOSにのみディストリビューション
が用意したソフトウェアライブラリに”Virtualbox”が含まれていました。
使ってみたところ、コチラは最新のVirtualboxではありませんがバージョン5シリ
ーズという事でインストールしてみたところなかなかいい感じ。
Windows 7 Pro (32bit)とWindows 8.1 Pro(64bit)をインストールしてそれぞれが
ホストOSのLANポートを共有してインターネットに接続できる事も確認。
これらゲストOSにシンクライアントからリモートデスクトップ接続をして使うに
はオラクル本家のサイトにあるライブラリから同一バージョンのVirtualboxの
Extension Packをダウンロードしてインストールしてやるとちゃんとできました。
そういう意味でちゃんとしています。(さほど不可解な箇所もありませんし)
唯一困ったのはZORINOS 12上に作ったWindows 7ProとWindows 8.1Proの
ゲストOSを両方同時に起動したらどうなるのか?とやってみたところ、どちらか
片方が『中断』されてしまうという状況に陥る事が分かりました。
これは困った。
HDDやメモリーの容量をホストOSから分け与える感じで仮想環境の設定を行い、
そうしたリソースが許す限り、仮想環境はいくつも作れますが、同時に起動でき
るのに、使えるのはゲストOSの内1つだけ…では現実的ではありません。
という訳で、唯一の望みか!?と張り切って進めたVirtualbox版仮想化サーバーですが、敢え無く失敗です。(と苦渋の判断)
勿論、個人的な理由で1つのPCの中で複数のOSを試すというだけの目的ならばなにもOSを複数同時に動かす必要もありませんから『中断』という憂き目にあう事もないでしょう。
でも、今回の目的であった『1台のパソコンで複数台分のパソコンを業務で動かして、これをリモートデスクトップで使うというのはお客様にご提案するシステムとしては『無理』と判断せざるを得ません。
今回実験機として使用したパソコンのスペックはAMDのAthlon Quad-Core 5370という廉価版といえどもそこそこの実力を備えたCPUを使っており、メモリーも8GB積んでいましたので、通常のオフィス操作レベルなら十分にお釣りが来るほどのスペックです。
ホストOS(仮想環境を動かす為のOS)もZORIN OS 12という比較的軽量なOSを使っていたにもかかわらずこの結果が意味するのは、ハイスペックマシンを使ってもこうなる可能性がある!という事です。
リソースの問題で動作が遅くなるだけならまだ許容範囲ですが『中断』はいけません。
という訳で仮想化サーバーを手軽に構築しようという構想は一旦おあずけです。
最近ではインテル製のCore−iシリーズのCPUにも4コア以上の製品が発売されてきましたし、メモリーやSSDも高速大容量化しています。
これらハイスペックなパーツを使ったパソコンを実験機に出来るようになったら是非再び『仮想化サーバー』の構築に取り組んでみたいと思います。
それではまた!
<あとがき>
『手軽に・・・』という事でなければ『仮想化』の方法は他にもあります。
でもそれをするには相当な勉強をして試行錯誤が必要になるのではないか?と調べているうちに思いました。
しかも、それは例えば開発者側からの技術情報の提供やサポートも受けられない全く独自の環境設定の道のような印象です。
当店ではお客様でもなんとか使えるレベルの便利機能をご紹介していくのがポリシーなので、ひたすら難しい事をやって『◯百万円です!』みたいな商売はしたくないのです。
良い方法が見つかったらまたこのブログで紹介していきたいと思います。