以前、ThinkPad E530cの液晶バックカバーがベタベタになってしまったらどうやって除去するか?という話題でブログを書きましたら、地道にアクセス数を稼いでおりましてやっぱり同じ症状で困っている人は多いんだな~と感じておりました。
さて、当店では基本性能は良いし、使い勝手も良いのにこうした予期しない塗膜の劣化で「こんなの使えないよ~」と手放してしまう方の多いパソコンをキレイに修繕して元よりも遥かに機能アップさせて仕上げる『Reborn PC』(リボーンPC)というのを販売しています。
塗膜に限らず、キーボードが傷んでいたりテカっていて使用感が半端ないので使いたくない・・・っていう理由で中古PCを使う事に抵抗があったりしますよね?
そうした『気になる』部分を徹底的に取り除くのみならず、オリジナルを遥かに超える仕上がりにして活躍して欲しい。そういう思いで取り組んでいます。
問題のベタベタ除去
ThinkPadは全ての機種ではありませんが、ピーチスキン塗装という高級な塗装が施されている機種があります。
これがどういう訳か古くなると『加水分解』という劣化が始まりベタベタになってしまいます。そうなるとゴミがくっついたり、書類を載せると張り付いて紙が破れてしまったりととんでもない事になります。他の部分は何ともなくても、こんな状態では使いたくないという気持ちになるのは必至です。
早い話がこれでこのThinkPadはお払い箱という訳です。(詳しくは過去ブログ記事参照)
<ー確かにこれはつらい💦
そして再生への道のり…
このThinkPad E530c、仕入れた当初の状態はというと液晶のバックパネルがベタベタなのは言わずもがなですが、キーボードの殆どがテカってしまっていました。
ThinkPadのトレードマークとも言える赤いトラックポインタのキャップも摩耗してグリップは低下しており何かいや~な感じでした。
そこで、キーボードは新品を取り寄せて交換しました。
メモリーは4GBしか無かったので新たに4GB✕2個で8GBに交換。
HDDはセキュリティを考えてか既に取り外されていたので、手持ちの完全消去したHDD500GBとOS起動用にmSATAのSSD240GBを増設。
CPUはCore i3ですがかなり速くなりました。
WindowsもクリーンインストールしてWindows Updateを繰り返して最新バージョンになりました。
問題の液晶バックカバーはオーブ・テック㈱さんの『業務用マルチクリーナー』で根気よく拭き取ると取れます。
このあと塗装するとすれば塗膜の完全な除去と下地処理(サンドペーパーで水研ぎとか)を丁寧にやって、サーフェイサー(下塗り)⇒本塗りとなります。
ところが、この機種はバックカバー上に”Lenovo”と”ThinkPad”のメッキロゴが入っているのでただ表面を削れば良いという物ではありません。
この単純でない形のロゴに合わせてマスキングを施した上でやる必要があります。
そこで私は考えました。
このロゴの形通りのマスキングをするにはどうすれば良いのかと…
写真を撮って、形を切り出して実寸大でラベル用紙に印刷!!!
塗装に際して作業上邪魔になるロゴのマスキングをするにはこうします。
- 実物のロゴの直上からスマートフォンで写真を撮る
- 撮影した写真をパソコンに取り込みます
- 画像編集ツールで写真にあるロゴ部分だけを『切り取り』します
- こうして作った”Lenovo”と”ThinkPad”の画像パーツをA 4用紙に印刷します。
◎面倒ですが、実際にプリントアウトした大きさと実物の大きさが合うまで
拡縮の調整を繰り返します - 出来上がったロゴイメージをラベル用紙に印刷してバックカバーのロゴに貼る
- 上記5で貼ったマスキングシールを避けながらサンドペーパーを400番~1000番を使って、塗膜を除去しながら研磨します。
ここからがプロの腕の見せどころ!
ところで、ここまで実はこのベタベタの蓋は取り外さずに本体に付いたままで作業をしてきました。
しかし、塗装となるといくらマスキングすると言っても誤って入って欲しくない部分に塗料が入り込んでしまったりすると取り返しがつきません。
そこで液晶部分を取り外して分解して一枚のプラスチック部品の状態にしてから塗装をします。
分解はLenovoのサイトから分解マニュアルをダウンロードしてプリントアウトした物を見ながら行います。(決してフィーリングで分解しない事が肝要です)
ま、気持ちとしては手早く分解できるに越したことは無いのですが、ここではベースのエンクロージャーから液晶部分(ヒンジ付き)を取り外し、液晶からマザーボードに接続されているRGBケーブルやWi-Fiアンテナケーブル、カメラ&マイクのケーブル、そしてThinkPadのロゴで光る赤ランプ用LEDなどなどを丁寧に外す必要があります。
※もちろん後で同じ経路でケーブルを接続しなければなりませんヨ!
ま、メーカーこそ違えHP製品は山のように修理してきた私ですから勿論できます。
(エッヘン!)
塗装も全力で
ようやく塗装の段階にきましたが、念の為アルコールを染み込ませた脱脂綿で脱脂(ダジャレではありません)します。
これで塗装の際にノリが悪かったりという事は無い筈です。
今回は私としても初の試みで、困っている人達の先陣をきってこの『ThinkPadベタベタ問題』を克服したいという思いがあり、手抜きは無しです。
幸いなことにThinkPadは『ツヤ消し黒』という難易度が比較的低いカラーではありますがプラスチック用プライマー(下地塗り用ブラック)を薄く3回十分乾燥時間を取って塗りました。
仕上げは最近の動画で車やバイクなどなどの塗装で皆さんお使いの『染Q』のブラックを入手してこれも3~4回重ね塗りしました。
自分用のものだと完全に乾燥する前についつい「乾いたかな?」と触ってしまうところですが、買って頂く予定のパソコンですからそこはぐっと我慢して塗装が完全に硬化するまで待ちました(1週間程度)
そこで触れてみたら・・・バッチリでした!(固くてしっかりつや消しの仕上がり)
さあ、組み立てて仕上げ!
仕事場の作業机の上はずっとThinkPadのパーツがずらりと並べたままの状態でスタンバイOK。
粛々と組み立てて30分ほどで組み立て完了。
動作確認も問題なく動きました。やった!
お買い求めのお客様、喜んで頂けたら幸いです。m(_ _)m